「百年の夢」という欺瞞

  • 2008/08/12(火) 12:01:15

 グルジアでの戦闘が激化の一途を辿っております。
「戦争とは、他の手段を持ってなす国家政策の継続である」というクラウゼビッツの有名な言葉がありますが、グルジア、南オセチア、ロシアそれぞれに思惑があるようです。
ただ、なすすべもなく政治に翻弄され犠牲になるのはいつも一般市民であることだけは確かです。

一体人類はおろかな試みをいつまで続けるのでしょうか?


 それでは、本日の記事紹介です。
 2008/8/12付 世界日報16面 【メディアウォッチ】〜新聞より
北京五輪で朝、毎編集幹部の“媚中”ぶりをたしなめた両紙現場報道

五輪政治利用を貫徹


 「百年の夢」。このフレーズが北京五輪報道でしばしば使われている。胡錦濤主席が北京五輪を「百年の夢の実現」と呼んでいるからだ。その根拠は百年前の1908年に天津の英字誌が「いつの日か、中国で五輪を開催できるか」と書いたことだという。

 昨日の本欄で紹介されていたように、9日付1面には朝日が「百年の夢 中国貫徹」(外岡秀俊・編集委員)、産経が「『100年の夢』光と影」(伊藤正・中国総局長)、東京が「『百年の夢』開幕」といった具合に「百年の夢」が使われている。

 だが、これら見出しをよく見ると、朝日だけが他紙と違って、「百年の夢」を括弧なしで、そのまま百年の夢としていることが分かる。括弧付きというのは、何らかの条件が付される、あるいは特別な意味が含まれている時に使う。この場合、中国あるいは胡主席が言うところの百年の夢、という意味合いだろう。とすると、括弧を外した朝日は疑いもせず、北京五輪をストレートに中国の百年の夢と思っているのだろうか。どうやら、そうらしい…

 

外岡氏のこの記事は1面から2面に続いており、2面の見出しに「心にメダル 被災者も」とあるから、続けると「百年の夢 中国貫徹/心にメダル 被災者も」と、まるで人民日報を読まされているような錯覚に陥る。恐れ入る“媚中”ぶりなのだ。

 中国が百年の夢を貫徹したというのは大ウソだ。「新中国誕生後の52年のヘルシンキ大会を最後に、国際オリンピック委員会(IOC)と絶縁」(産経、伊藤氏)し、五輪精神の対極の残虐行為を繰り広げた「チベット動乱」の59年にIOCを脱退。79年のIOC理事会(名古屋で開催)で復帰するまで、20年も五輪を蔑視し続けてきた。

 79年には57年に脱退していた国際サッカー連盟(FIFA)にも復帰したが、それは「国際化して実力をつけ、中国人民にプライドを持たせる」(小平)ためで、スポーツ精神の発揚ではなく、あくまでもスポーツの政治利用が狙いだった。「百年の夢」を持ち出してきたのもそうで、中国が貫徹しているのは政治利用の方である。これを言わず、「百年の夢 貫徹」とするのは、中国のプロパガンダに等しい。

「時時刻刻」中国批判


 同じ朝日でも、外岡氏の記事が載った9日付2面の「時時刻刻」は「党主導 政治ショー」との見出しで、政治利用の実態をつぶさに紹介していて、大いに啓発される。

 例えば、聖火リレーでは「各都市で、その土地に君臨する党委書記が第1走者に炎を渡す役割を演じ」、民主活動家には「公安当局の尾行や監視が強化」され、北京では出稼ぎ農民が「汚い彼らは景観を損なう」として追い出され、「かわって軍や警察の応援組が地方から動員され、路線バスで私服警官が目を光らせ」、まさに「党の党による党のための五輪」というのだ。外岡氏の“媚中”ぶりとは対照的な、辛辣な中国批判だ。この二つの記事を読んだ朝日読者はどう思っただろうか。

 “媚中”と言えば、毎日の堀信一郎・中国総局長もいささか心もとない。9日付の署名記事で、「中国はまだ『世界に理解される国』にはなっていない」としつつも、「だが、希望はある。中国各地の五輪会場にいる約7万人もの青年ボランティアだ。彼らは多くの外国人と触れ合っている。外国人を知ることで、文化や考え方の違いを皮膚感覚で覚え、中国を客観的に見直すこともできる」と、ボランティアに希望を託している。

不明な総局長の記事


 だが、これがいかに甘い希望か、当の毎日の11日付国際面で鈴木玲子、杉尾直哉記者が「『ボランティア』実は公安職員」と暴いている。各競技会場ではボランティアの若者たちがにこやかに声をかけてくるが、「(彼らは)警察など公安機関から派遣され、ボランティアのシャツを着た保安要員だ。通常の制服でないのは、人々の不安をかきたてないためとみられるが、こうした要員はいつもの習慣から4、5人が一列になって軍隊風に行進するためすぐわかる」としている。それが堀総局長には分からないらしい。

 朝日と毎日の編集幹部の“媚中”ぶりを現場記者がたしなめている図である。何とも見苦しい五輪報道だ。

(増 記代司)


The Sekai Nippo Co.,Ltd. 1975- Tokyo,Japan

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