ぶれるな!エネルギー戦略

  • 2011/06/19(日) 21:22:18

 ちょっと待て「脱原発」ということで、3本の記事をアップします。

とかく感情論に流されがちな原発ならびに原子力利用の問題ですが、すでに巨大な電気の恩恵に預かっている社会となっている以上、その安定供給を考えたら「今は」原発に頼るしかないというのが現実的なスタンスではないでしょうか?

それをどこかの政治家やどこかのメディアがいたずらに危機感を煽り、怒りと憎しみの感情を煽るのはどう考えてもトップに立つ物あるいは社会の公器のすることとは思えません。

と同時になんらかの意図的があるとしか思えません。

ぜひ、この記事をお読み頂き、冷静に判断をしていただきたいなと思います。



2011/6/15付け 世界日報12面 【メディアウォッチ】

独伊「脱原発」の課題や事情を書く
     毎、日、読に比べ盲目的な朝日社説


冷静な議論欠く朝日


 ドイツとイタリアが「脱原発」に回帰した。これを朝日は嬉々として報じている、「脱原発に踏み出したドイツ、スイスに続き、事故を受けて原発を拒否する世論が欧州に広がっていることが浮き彫りとなった」と(14日付)。脱原発路線をひた走る朝日としては吉報だった…

 すでに社説では4月20日付で「原発をどうするか/脱・依存へかじを切れ 世論が動かしたドイツ」とし、5月以降、「脱原発依存に道筋を」(12日付)といった具合に再三、脱原発論を唱えてきた。そしてドイツが脱原発を閣議決定すると、「ドイツの決断 脱原発への果敢な挑戦」(6月7日付)と褒めそやした。

 どう見ても朝日は脱原発にのめり込んでいる。が、そこに危うさがありはしないか。毎日の立山清也記者は「新たなエネルギー政策で、仮に原発を再選択すれば事故のリスクを抱える覚悟が必要で、再生可能エネルギーに転換しても、高負担を甘受する覚悟がいる。どちらの方向に進むにせよ、国任せにはできない我々自身の問題だ。正しい情報に基づく冷静な議論が必要だ」(記者の目「容易でない実情示し議論を」3日付)と指摘する。そういう冷静な論議が朝日にあるだろうか。

 例えば7日付社説で「ドイツは今後、政治や社会が一致結束して脱原発への歩みを早めることになろう。風力や太陽光、バイオマスといった再生可能エネルギーの普及に力を入れる…フランスやチェコなど周辺国と電力を融通しあう仕組みがあるが、その割合はごくわずかにすぎない。政府はエネルギー源を他国に依存しない方針だ」と、手放しで賛美する。

負担増すドイツ国民


 だが、実際はどうか。日経の菅野幹雄ベルリン特派員は2日付「地球回覧」の「独『脱原発』Uターンの実相」で、エネルギー政策の転換を議論した17人の「倫理委員会」で経済人は1人だけだったとし、経済性と環境保護の釣り合いに疑問を呈する。日経7日付は「独電気料金1割上昇へ/製造業に危機感」と産業界の厳しい反応を伝える。

 独フランクフルター・アルゲマイネ紙によると、3月前半までドイツは1時間に平均350万銑匹魍姐颪僕⊇个靴討い燭、国内原発17基を停止した3月17日以降、逆に平均250万銑匹鬟侫薀鵐垢筌船Д海ら輸入する事態になった(毎日5月9日付)。これがどの程度の割合か記事にはないが、すでに電力を他国に依存している。将来、依存率が高まる可能性がある。朝日はそんな事情を語らない。

見事な読売解説記事


 当たり前の話だが、それぞれの国家の背景が違うからエネルギー政策も違ってくる。読売の大塚隆一編集委員は5月11日付解説でその違いを見事に分析している。

 それによると、建設加速(中国、ロシア、インド)、現状維持(米国、フランス、英国)、脱却(ドイツ、イタリア)の三つのグループは、核兵器を保有する新興国、同じく核を持つ先進国、そして非核の先進国に相当するという。このうち中印は急速な人口増加と経済成長を支える電力の確保に必死。ロシアは天然ガス需要の高まりと原発ビジネスでエネルギー超大国の座を固めたいという思惑がある。

 これに対して米仏英は新興国の台頭や途上国の成長で資源争奪戦が激化すると見込み、エネルギー安全保障の観点から原発を維持・発展させたいが、独裁的な中露と違い、世論の支持が大前提になる。電力の75%を原子力でまかなうフランスには脱原発の選択はあり得ない。

 一方、米国はシェールガスと呼ばれる天然ガスの掘削が進み、世界屈指の生産国になり、英国は石炭が豊富で最近まで北海の石油と天然ガスを輸出していた。米英両国は原発を新設しなくても自前の燃料で火力発電に回せるのだ。これに対してドイツが脱原発に回帰した理由は根強い反原発世論からだが、石炭資源が豊富なうえ、欧州にはエネルギー分業体制があることを忘れてはならない。

 このように大塚氏は分析し、「原発の今後をめぐる議論は安全確保を最優先としつつも、厳しいエネルギー事情を踏まえ、冷静かつ戦略的に進める必要がある」と指摘している。こんな視点は朝日にない。脱原発の感情論はいただけない。

(増 記代司)



2011/6/16付 世界日報16面 【メディアウォッチ】

ドイツ「脱原発」への政策転換を積極評価する
               朝日、慎重な読売・産経

課題より挑戦を評価


 ドイツが原子力政策の転換を決めたのに続き、イタリアでも原発再開の是非を問う国民投票で反対票が94%に達し同政策が見直されそうである。契機はともに東京電力福島第1原発事故、いわゆる「フクシマ」問題である。

 ドイツでは、メルケル首相率いる中道右派連立政権が昨秋に、それまでの脱原発政策を転換したばかりだったが、フクシマ事故後に行われた地方選で敗北を重ね、わずか半年余りでの政策再転換となった。既存の原発17基を2022年までに全廃するという。

 ドイツの政策再転換に対し、新聞の論調は積極的に評価する朝日と、極めて慎重な見方を示した読売・産経が、好対照をなした。東京は「国際社会への重い問いかけ」と冷静に受け止めた。毎日と日経、本紙はこのテーマでの論評はまだない(15日現在)。

 まず、積極評価の朝日。同紙8日付社説は「ドイツの決断/「脱原発への果敢な挑戦」との見出しを掲げ、世界の主要国の一つであり、欧州経済を引っ張るドイツが、「原発という巨大なリスクを、徐々に取り除いていこうという決断は重い」と指摘する。

 ドイツで原子力は電力供給の2割強を占める重要なエネルギー源であるからだが、脱原発による不足分は当面は石炭や天然ガスを使った火力発電所の増設で補い、20年までに現在17%を占める風力や太陽光といった再生可能エネルギーの割合を35%に倍増させる。この「果敢な挑戦」で、同紙は「今後、脱原発への離陸に成功すれば、ドイツは21世紀の新しい文明と生活のモデルを示すことができよう」と称賛するのである。

 もちろん、同紙はこうした明るい展望ばかりでなく、「風力発電地帯の北部から人口の多い南部への送電線をどう増設するか。電力料金の値上がりをどう抑えるのか。課題は山積している」ことにも言及はしている。しかし、こうした課題より挑戦に重きを置いて、「事情が大きく異なるとはいえ、ドイツの果敢な挑戦から日本は目を離してはなるまい」と説くのである。

原発電気輸入の実態


 一方、この「大きく異なる事情」に注目するのが、読売、産経である。その事情とは、「(ドイツは)陸続きの周辺諸国から電力を輸入できる」(読売7日付)こと。「島国であり、エネルギー資源小国の日本では、こうはいかない」(産経8日付)からである。

 現に、ドイツはフランスやチェコから電力を輸入しており、しかも、フランスの電力の8割は原発で作られており、チェコでも旧ソ連型の原発が稼働している。国内でいざ電力不足という時でも、外から輸入でき、しかも、その電力はほとんど「原子力産」という状況は、真に「脱原発」と言えるのか。産経が「実態知らずの礼賛は禁物」(「主張」見出し)と言うのも頷(うなず)けることである。

 東京(8日付)は、メルケル政権が諮問した倫理委員会報告が「撤退は、将来ドイツから起こり得る原発の危険性をなくすために必要である」と述べていることに対し、「原発事故による惨禍を、少なくとも自国から招く道を閉ざすドイツ固有の意思表明だろう」と評価した。

 確かに、好意的に見ればそうとも言えるが、シビアに見れば、危険な電力は周りの国に任せ、いざ不足となれば購入で済ませられるという万事自国に都合よく振る舞う狡(ずる)さも感じられる。読売は、「原発廃棄は決めても、原子力に由来する電力に頼る構図は変わらない。自国の原発技術の売り込みも続けるという。ご都合主義の側面も否めない」と厳しい見方を示したが、全く同感である。

景気影響を読売懸念


 ドイツが今後、さらに力を入れることになる太陽光や風力などの再生可能エネルギーは現状では、効率やコスト、安定供給の面で課題が少なくない。これをドイツがどう克服していくかは、朝日が指摘するように、目を離してはなるまいが、現状は「ドイツの産業競争力を奪いかねない重大な政策転換」(読売)であり、「欧州全体の景気も左右」(同紙)する問題である。

 島国で電力を隣国から買えないわが国としては、読売・産経が指摘するように、「産業競争力を維持するうえで、安全性を高めて原発を活用していくことが、当面の現実的な選択であ」ろう。

(床井明男)


2011/6/19付 世界日報3面 【社説】

独伊・脱原発/安易な追従は極めて危険


 ドイツとイタリアが「脱原発」に転じたことで、国内でもそれに続こうという声が出ている。だが、エネルギー政策は国家の安全保障と深く関わる。欧州と日本では国を取り巻く環境は根本的に異なる。そうした背景も見ず、安易に脱原発に追従するのは危険この上ない。安全保障の視点を忘れてはなるまい。
電力網で結ばれる欧州

 東京電力の福島第1原発事故を受け、ドイツは2022年までに段階的に原発を閉鎖する。イタリアは1990年に国内4カ所の原発を閉鎖したが、6月に国民投票で改めて脱原発を決めた。スイスも34年までに廃止する方針だ。もとよりそうした他国の決定は尊重されるべきだろう。だが、欧州は日本と事情を異にすることを想起すべきだ。

 それは欧州連合(EU)の下でエネルギー政策の統合を進め、電力市場を自由化し、域内に電力網を張り巡らしていることだ。それでドイツは原発を停止させた3月以降、フランスやチェコから電力を輸入している。その欧州の電力の3割は原発による。15カ国に148基あり、脱原発国は少数派にすぎない。脱原発も実際のところフランスなどの原発頼みなのだ。こんな芸当は島国日本にはできない。

 もう一つ想起しておくべきは、欧州の多くの国が脱原発に踏み切らないのは安全保障に関わってくるからだ。

 欧州では天然ガス消費量の約25%をロシアから輸入している。ところが、ロシアは政治・軍事的影響力を高めようと、しばしば“資源圧力”をかけてくる。例えば06年、ベラルーシに対して天然ガス価格を4倍以上引き上げると通告し、これに反発したベラルーシが原油に関税をかけて対抗した。そのためロシアが同国経由の欧州向けパイプラインを一時閉鎖し、エネルギー危機が生じた。

 パイプラインはかつて「ドルージュバ」(友好)と呼ばれたもので、旧ソ連がこれで東欧支配を図った。今年に入ってロシアはウクライナにガス売却料金の引き下げ条件としてロシア中心の「関税同盟」に加わることを求めて圧力をかけている。

 そういう背景があるから、原発6基を持つチェコは増設を目指し、ポーランドは産炭国でありながら20年までに原発2基の建設計画を進めている。「ロシアの頸木(くびき)」から脱するためだ。

 また再生可能エネルギーの開発に意欲的なスウェーデンも原発を放棄しない。同国は80年に12基あった原子炉を10年までに全廃すると決定したが、その後、2基停止しただけで97年に閉鎖期限を撤廃、昨年には原発推進に転換した。新エネルギーにめどがつくまで原発を維持し続ける考えだ。

 スウェーデンは冷戦時代に中立国として自主防衛に徴兵制まで敷いた。エネルギー政策でも過度な他国依存を恐れ、産業競争力の停滞も危惧して脱原発に慎重なのだ。電力の原発依存度は現在、50%近くに上る。

安全保障の視点で論じよ


 このように欧州のエネルギー政策は安全保障と密接に関わっており、脱原発が大勢ではない。わが国もエネルギー安全保障の視点をもって原発問題を論じるべきである。

The Sekai Nippo Co.,Ltd. 1975- Tokyo,Japan

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