今こそ憲法改正目指す勢力の結集を!

  • 2010/05/18(火) 13:23:40

 さる4月26日(月)に開催されました創刊35周年記念の世日クラブ講演会(講師:中西輝政教授)の要旨です。日本の政治がいかに危機的状況にあるかということ、そして今こそ真の保守の団結がいかに願われているかということを明快に語っておられます。

2010/5/17付 世界日報9面 【創刊35周年記念 世日クラブ特集】
日本の政治をどう見通すか

            講演:中西輝政 京都大学大学院教授

 憲法改正目指す勢力の結集を

鳩山政権の普天間対応の混乱/根底に日米中 等距離論


 沖縄普天間基地移設問題を契機に、わが国の政治はかつてない混乱に陥っている。中西輝政京都大学大学院教授は、都内で開かれた世界日報創刊35周年記念の世日クラブ講演会(4月26日)で、今後の日本の政治をどう見通すかについて講演した。

 今日は、世界日報の創刊35周年という記念すべき機会にお招きに預かりまして有難うございます。

 今の鳩山政権の政治運営は、とうとう究極の破綻状況に至っています。幾つかの世論調査で、民主党支持率は2割を切っています。いったん落ちると、土俵際で踏ん張るということができない体質の政党なので、これは大変重要な指標になります。

 普天間移設問題ですが、5月末という鳩山首相の設定した期限に何の意味があるのかと考えてきましたが、やはり「衆参同日選挙」を民主党の小沢幹事長は仕掛けるのだろうと思います。5月末だと7月参議院選挙にはうまく合うタイミングです。背景に小沢さんの衆参同時選挙というシナリオが、鳩山さんが5月末決着と言い出した1月ごろにあったのではないでしょうか…

 昨年12月10日から13日まで、小沢さんが多数の民主党国会議員を連れて訪中し、その直後、中国の習近平副主席が来日して、一カ月ルールを無視して、天皇陛下との会見を強く申し入れてきました。小沢さんが動いて15日に特例会見が実現したわけですが、前14日の記者会見は物議を醸しました。

 この時、小沢さんと別れた山岡国対委員長は、140人の大議員団を引き連れて上海も訪問、そこで「今、普天間問題で米国との間がギクシャクしているが、その解決のためにも日米、日中を等しい距離の関係にするのだ」と言っていました。山岡氏はまた、これは、実質的日中首脳会見である北京での小沢・胡錦濤会談でも合意した、と言いました。この「日米中正三角形論」と切り離して、鳩山内閣の普天間問題へのアプローチは考えられません。

 いろいろなメディアの報道を見る限り、普天間問題の迷走は、鳩山さんが会う人ごとに考えを合わせてブレまくっているためだとしています。これは日本人のメンタリティーにはすとんと合いやすい話ではあります。

 しかし総理官邸の、この7カ月くらいの動きを見ていると、どうもそれだけではないように見えます。首相のアドバイザーと言われる学者、評論家の顔を思い浮かべると、どうも話はそんなに単純ではない。そこには民主党政権の外交・安保哲学、あるいは問題のある国家観のなせる業という部分が多分にあります。

 この間、仙石由人国家戦略担当大臣が述べたように、5月末に普天間問題が解決できないということになれば、選挙に打って出る大義名分は成り立ちます。ただ、支持率がここまで落ちているときに、衆院で3百何議席も持っているものをみすみす失うようなダブル選挙などをやるのだろうかと。ここが、非常に難しいところです。

 小沢さんという人は、権力の座が欲しいわけでもなく、民主党を勝たせたいということを最終目標にしているわけでもないでしょう。どうも選挙後に小沢さんが、「がらがらポン」に出てくる可能性があります。そのとりあえずの構図は、今年から来年に掛けてでしょうか、民主党を「小沢党」といえる民主党の半分くらいと割って、公明党や今回生まれた新党がそちらの方に行くことも考えられます。どうなるか分かりません。

 これは日本政治の究極の混迷です。小沢さんの思い描いてきた二大政党政治にソフトランディングするのか、それとも大乱世になるのか。私は大乱世になる可能性がかなりあると思います。

 民主党政権は、どちらかというと日米安保を希薄化し弱めるということが隠れた党是の政党なのです。これは明らかです。日米安保は徐々に日米友好条約に切り替えていくのだ、ということを持論にしている学者や評論家が、政権交代した途端に鳩山さんのところに足繁く通っています。

 鳩山さんは何でも言う人です。何を言っているかより、何を行っているかで民主党政権の安保外交政策を見ていくと、筋が通っているのです。鳩山さんの場合は、総選挙前に書かれた月刊誌「Voice」9月号に寄稿した論文でも、(米国主導の市場原理主義を批判するなど)日米関係に対して冷めており、米国への冷たい視線があります。

 その要約がニューヨーク・タイムズに掲載され物議を醸したので、やや軌道修正したようなことを言っていましたが、政権を取った直後の昨年9月24日、国連での演説で「東アジア共同体」の創設構想を、米政権とのすり合わせも何もなしにいきなりブチ上げました。

 10月10日には、北京に赴いて日中韓三国首脳会議を行い、その新聞記者が入っている冒頭のところで、「これまで日本は米国に依存し過ぎてきた。これからはアジアにもっと繋(つな)がりを深めていかなければいけない」といって、東アジア共同体の話をしようとしました。米政府の高官が鳩山首相の発言を知って、「こういう話を日本の総理が訪中して行うのはいかがなものか」と日本の外務省に伝えています。

組織と思想を失った自民

 自民党政権なら、こうした米側の反応が外務省から伝えられ、「総理、あの発言はまずかったですね」という意見が党内から出て修正されたかもしれません。ところが民主党政権は政治主導という縛りがあり、これが今、「悪魔の縛り」になっています。役人は政治家に進言しなくなりました。これは国としては大変なリスクです。民主党流の「政治家主導」は、非常に未熟な政治主導論です。

 オバマ大統領は昨年11月13日に来日し日米首脳会談を行いましたが、あの時鳩山首相は「トラスト・ミー」と約束しました。しかし、翌日に、シンガポールへ行って「日米首脳の間で、年内に現行案で決着するというようなことは合意していない」と表明したのです。それならなぜ前日の日米首脳共同記者会見で、明確に言わなかったのでしょうか。オバマ大統領は年内に現行案で決着し、その実施方法について作業部会を設けるということで合意したのだと、本当に信じているかのように語っていました。

 こんなことはどんな宇宙人でもありえないのです。これは何かの意図、シナリオがあってこう動いているのではないか、という視点で問題を洗いなおさなければいけません。11月13日の首脳会議以後の日米のズレにより、オバマ大統領は会ってくれなくなりました。

 こういうことがあって、12月の小沢さんの中国行きがあり山岡さんの発言があったのです。ここで米国は結論を出しています。この政権は日米安保を希薄化したいのだ、自民党時代の日米関係を様変わりさせたい戦略的意図を持っているのだと。それ以外に説明の仕様がありません。

 この4月、日米関係が今のようなときに、中国の最新鋭潜水艦が艦隊を組んで、わざわざ沖縄本島と宮古島との間の水道を横切って沖ノ鳥島の周りで派手な演習をやりました。こうやって、日本は政権交代したけれど、どこまで骨が残っているのか、まだ筋を通そうとするのか、あるいは中国が踏み込んだら簡単に蹴散らせるようになっているのかを確かめるためです。中国は、とても民主党政権が対処できるような相手ではありません。 

 しかしあえて言えば、こういう政権が突如、出てきたわけではないのです。ここに至る前に、自民党政権下でも対米・対中外交がいいかげんではなかったでしょうか。5年前の小泉さんの郵政選挙で日本の保守は壊滅した、と思います。小泉さんは自民党の組織を破壊しましたが、90年代半ばの自社さ政権の時には、自民党は思想を放棄したと言えます。

民主も保守系政党も仕分け必要

 考えてみると、20年も政治改革をやっています。自民党が政治改革という方向に動いたために大切な国家観を失ってしまいました。日本には、単なる政治勢力としての「保守」と、日本の建て直しを真剣に考えている保守と二つの保守があります。「口先保守」と「心の保守」です。憲法改正を宿願と思っている保守こそ真の「心ある保守」です。


 保守をそろそろ区別して考えないと何も見えて来ません。今の日本では、保守の政治勢力、「保守政治家集団」は衰退期に入っていますが、国民の心の中には、とうとうと保守に向かう流れがあります。今の民主党も口先保守も仕分けをしないといけません。

 仮に参院選で小沢民主党が勝利しても「バラバラになるための勝利」です。そもそも民主党は、その政権担当を長く続けられるような政党ではありません。日本人の生き方、教育、国防が全部、われわれの生活に繋がってくる時代になっています。これをしっかり見つめ、明確に憲法改正をめざす勢力の結集が何より大切です。


The Sekai Nippo Co.,Ltd. 1975- Tokyo,Japan


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