忍び寄る薬物汚染

  • 2009/06/28(日) 21:58:08

 歌手のマイケル・ジャクソンが25日正午(日本時間26日午前4時)過ぎ、心不全で亡くなりました。

 報道によれば、主治医で心臓の専門医でもあるコンラッド・マーリー氏が、日本では劇薬指定されている麻薬性鎮痛剤「デメロール」をマイケルに常時処方していたようで、緊急通報1時間前にもこの“劇薬”を注射していたのではないかとされています。

 数々の栄光と挫折を経験し、また多くのスキャンダルにもまみれ、精神的・情緒的に不安定になっていったのは、世界的なトップスターとしての宿痾ともいうべきものなのでしょうか…。そこから麻薬でないとはいえ劇薬を常用するようになり、さらに、復帰コンサートに向け、大きな緊張とストレスにさらされるなか、肉体が限界を超えてしまったのでしょう。
 
 マイケルはこの注射を「ヘルストニック」と呼んでいたそうですが、薬には必ず副作用がありますし、決して常用するものではありません。

 故人のご冥福をお祈りします。


 
 それでは、本日の記事紹介です。ましてや、大麻・覚せい剤などは論外でしょうということです。
 2009/6/28付 「サンデー世界日報」より
家庭に忍び寄る「薬物」 

     売買 繁華街から住宅街へ
       「大麻は罪」意識弱い若者

東京薬物対策協会代表、藤根元さんに聞く

 今月26日は国連が定めた「国際麻薬乱用撲滅デー」。この日を中心に、政府は麻薬の危険性を啓発することに力を入れるが、大学生の大麻事件など日本における薬物乱用は深刻化している。かつて自らも薬物に溺れた経験から、教育現場での講演など薬物乱用をなくす活動を行っている東京薬物対策協会(サイエントロジー教会後援)代表の藤根元さんに、薬物対策の課題などについて聞いた。 <聞き手・森田 清策、写真・加藤玲和>

「たばこより害ない」

 ――大学生が絡んだ大麻事件が後を絶ちません。

 海外留学が影響しているようです。海外には、大麻を合法化している国もあるので、そうした国に留学した学生は、帰国してからも大麻に対して罪意識がない。外国から種を輸入して、通信販売するケースもある。

 大麻について間違った情報が流れているのも大きい。大学で大麻事件が頻発するのは、「たばこや酒より害がない」と考える若者が増えているからではないか。

 私が直接体験した例です。大麻を吸って、車を運転したらどうなるか。ガタガタと中央分離帯の上を、笑いながら走った人間がいます。タイヤの大きな四輪駆動の車でした。ドライバーは感覚が麻痺(まひ)してしまって、「オフロードだ」と叫びながら運転する。私は助手席に乗っていたのですが、「こいつ、ちょっと頭おかしいぞ」とゾッとしましたね。人がいたなら、きっとはねていたでしょう。

 結局、その人間は電柱にぶつかり、警察官がやってきて、初めて事の重大さに気づいたのですが、大麻を吸わなかったら、そんなことはしなかった。

脱法ドラッグが続々

 ――大麻事件に関連して摘発された容疑者のうち、8割が初犯という統計があります。
 大麻は「ゲートウェイ(入り口)ドラッグ」の一つになっているのでしょう。10年くらい前までは、不良への入り口はたばこやアルコールでしたが、今は大麻になっている。さらに、そこから覚醒剤などに手を染めるケースが多いのではないか。

 それから、ゲートウェイドラッグとして恐ろしいのは脱法ドラッグ。法律で規制されない薬物のことです。マジックマッシュルーム(一種のキノコ)のように、かつては禁止されていなかったが、幻覚作用を引き起こすことが分かって今は規制されています。新しい脱法ドラッグが次々現れるのに、規制が追いついていないのです…

 ――大麻や脱法ドラックから、さらに強い麻薬に手を出すようになる。
 そうですね。大人への反抗心から、たばこを吸う少年がいますが、たばこに手を出すと、次は仲間に誘われてシンナー、そして酒とエスカレートしていきます。

 薬物にも同じようなことが言えるのです。一度、脱法ドラッグに手を染めると、ハードなドラッグにエスカレートしていきます。
 
 薬物が恐ろしいのは、体に耐性ができて、どんどん強い薬物にエスカレートしないと、快楽が得られなくなることです。そして、誘惑や欲望に負け、一線を越えて違法な薬物に手を出すと、「やってしまった!」と泥沼に落ちていく。

 一度入り口が開くと、もう自分自身をコントロールできなくなり、頭の中で常に「薬物! 薬物!」と思い続ける。これが薬物に支配されている人間の状態です。

上司に会う時に飲む

 ――大不況の中、働き盛りの人の間で鬱(うつ)病や自殺が増えています。
競争社会が激化して、ストレスから薬物などに手を出す人が増えているのでは?

 薬物には、自分を覚醒させるもの(アッパー系)、それを落とすためのもの(ダウン系)、そして幻覚を楽しむためのもの――と、3つの種類ある。こんな人間がいました。

 会社で上司に怒られると、すごく内向して落ち込むので、「怒られそうだな」と思う時は、ピルケースにアッパー系の薬を入れて、会社に持って行く。上司に呼ばれたら、それを飲んで高揚感を高めて会う。そんなふうに使っている会社員もいました。

 警察庁の統計では昨年、大麻と覚醒剤の押収量は増えたが、それ以外は減っている。しかし、これは実態を正しく反映していないと思います。私がリサーチしてきた実感としては、薬物をとっている人は増えている。

 ここで強調しておきたいのは、ストレスなどから逃れるために薬物に手を出しても何の解決策にならないということです。薬物を乱用すれば、問題はさらに悪化するのです。薬物から逃れられなくなり、人生をダメにすることになるのです。

解脱の専門施設なし


 アルコールでもそうですね。嫌なことを忘れるために、アルコールに走る。それで毎日、お酒を飲み続け、挙げ句の果てはアルコール中毒。これまでは、薬物を手に入れることは、一般人には難しかったが、今はインターネットで調べれば、入手する方法はすぐに見つかるので、事態は深刻です。

 ネットの掲示版には、隠語を使った売買情報が流れています。実際にあった事件です。会員同士が交流する、あるサイトに「冷たいしゃぶしゃぶを、ぽんずで食べたい方、(SP)募集中」という書き込みがありました。しゃぶしゃぶは「シャブ」、つまり覚醒剤のことを指し、(SP)の意味は「シャブをポンプ(注射器)でやる人、募集しています」となります。この書き込みを見た女子高生に、覚醒剤と注射器を売った会社員が、逮捕されたケースがありました。

 ――薬物依存症の治療法はあるのですか。

 薬物に染まってしまった人たちをどうするのか、という点が、政策的に追いついていない。そこが課題ですね。

 現在、薬物から解脱するための専門施設は、日本にはありません。試行錯誤の状況の中で、依存から抜け出すのを助けている個人やNPOはありますが。今は、精神科に入院して薬物療法を受けるというのが一般的な方法ですが、それでも結局は薬に頼った治療ですから、長引きます。

「親の寝室にあった」

 ――最近は、高校生が絡んだ大麻事件も起きていますね。学校側の危機意識はどうですか。

 それはすごく高くなっています。私は東京薬物対策協会から派遣されて、特別講師として、学校で薬物乱用防止の講演を行っていますが、教師たちは薬物乱用防止をどう指導したらいいのか、という問題意識を強く持っていますね。

しかし、学校の教師は普通の教科は教えることができても、薬物に関しては伝え方がまだ分からない。ですから、中学校から、私たちに対する講演要請が増えています。

 薬物がどうしていけないのか、どうして危険なのか。子供は理解力があるので、大人が責任を持って教えれば、「絶対に手を出してはダメ!」というメッセージは伝わるはずです。

 ――薬物乱用の危険性について、保護者も理解することが大切ですね。

 学校で子供たちを指導する中で、感じるのは家庭の重要性です。子供たちに知識を与えても、保護者がその情報を共有しないと、私たちの活動は、効果が半減してしまうと考えています。

 中学生に講演に対する感想文を書いてもらったことがあります。その中に、「今日の話の中で出てきた薬物(脱法ドラッグ)が親の寝室に置いてあった」と内容の感想文がありました。脱法ドラッグは性的な興奮を高める作用もあるので、寝室に置いてあったのでしょう。

 親はその危険性を理解していないのでしょうが、子供は大変なショックです。「自分の親は、こんなの持っている」と。そんなこともあるので、家庭のあり方、保護者の責任もしっかり果たせるように啓発しないといけないと思います。家庭の協力なしでは、薬物をなくすのは難しい。

防犯カメラない場所

 ――普通の家庭の主婦が手を染めるケースもある。

 最近は、至る所に防犯カメラが設置されているので、繁華街での薬物売買は難しくなっている。そこで、売人が目を付けたのが住宅街。とくに、お金と時間のある主婦がいる高級住宅街が狙われている。

 不景気だといっても、日本に行けば薬物が売れるという情報が外国には広がっています。日本は薬物のマーケットとしては最適だと。密売人の間では、客が付いている携帯電話が約800万円で売買されており、それを持っていれば、月に2、300万円は稼げるという話もあるようです。

 薬物をなくすには、その危険性を知らせて、国民の意識を変えることが大切だと思います。本人自身はもちろんのこと、社会への影響も大きいことを知ってもらいたい。人の意欲を低下させ、生産性を破壊します。薬物が蔓延(まんえん)すれば、その他の犯罪も増え、日本の社会はダメになってしまうものなのです。

@メモ
 東京薬物対策協会は、L・ロン・ハバード氏の長年の薬物の研究と解決策に基づいて薬物乱用防止の啓発、教育活動を行っている。


The Sekai Nippo Co.,Ltd. 1975- Tokyo,Japan

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する