「普通の国」に近づく米国

  • 2009/03/30(月) 22:07:09

 いよいよ4/4(土)、地元南長崎におきまして、トキワ荘記念碑「トキワ荘のヒーローたち」の除幕式が行われます。これは、豊島区と地元商店街がタイアップして行われるイベントで、豊島区としては文化・観光資源としてのアピールを、地元においては新しい町づくりの起爆剤とするべく行われる内容です。

 当日は、鈴木伸一先生、よこたとくお先生、水野英子先生(といっても私は全然知らない方たちばかりですが…)をはじめトキワ荘に縁の深い先生方、プロダクション関係の方々が出席される予定で、特に水野英子先生は、オリジナルグッズの販売の予定です。また、宝塚の手塚治虫記念館でしか手に入らないクリアファイル、下敷き、ノートなども特別に販売するそうです。



   水野英子先生デザイン・オリジナルキーホルダー
   1個500円(税込み)売り切れ御免の限定300個だそうです


日時:平成21年4月4日(土)
    午前11時〜15時
場所:南長崎花咲公園(豊島区南長崎3-9-22)




 それでは、本日の記事紹介です。

2009/3/30付 世界日報16面 【ビューポイント】
「普通の国」に近づく米国

 多極時代の利害調整を
       福井大学教授 小林 道憲



 カルタゴやセレウコス朝のシリア、プトレマイオス朝のエジプトを次々と滅ぼし、もはや地中海世界に敵のいなくなった古代ローマは、紀元前27年に帝政に移行、ローマ帝国による地中海世界の一極支配が始まった。

その後も版図の拡大は続き、地中海世界の各地から、物、金、人が続々とローマ市に流入、ローマは繁栄を極めた。人々は、これをパクス・ロマーナ(ローマによる平和)と言い、繁栄を謳歌したのである。

ところが、紀元後117年、ハドリアヌス帝の治世にローマの版図は拡大を停止、地中海世界からの戦利品や税金の大量流入が止まり、帝国の経済は縮小に向かっていった。ローマの衰退は、この頃から始まったと言えよう。帝政ローマが成立してから、144年後ということになる。

 翻って、今日の世界史の現在はどうであろうか。20世紀、アメリカがドイツ・日本・ソ連を滅ぼし、世界の一極支配に入ったかのように見えたのは、1991年のソ連の崩壊からであった…

しかし、もしも、昨年後半からのアメリカ発の金融危機と経済破綻が、アメリカの一極支配の終わりを告げるものであったとすれば、アメリカの一極支配は17年で終わったということになる。現代の世界は、まるで高速度写真を見ているかのように進んでいく。世界史のスピードは、帝政ローマ時代のスピードの10倍にはなっていると言ってよい。

 というより、ソ連が崩壊した1990年代初頭に、すでにアメリカも疲弊していたと言うべきであろう。当時のアメリカも、世界最大の貿易赤字と財政赤字、いわゆる双子の赤字を抱え、世界最大の債務国に転落していた。20世紀がパクス・アメリカーナの時代だったとすれば、そのような20世紀は、実際の20世紀よりも短く、1991年で終わっていたのである。

その後のクリントン政権やブッシュ政権は、危機の先延ばしをしていたにすぎない。ドルの高め誘導とデリバティブ商法で世界中から金を集め、双子の赤字を借金で埋め合わせ、国力の回復を演出していたにすぎなかった。

 アメリカによる一極支配という考えは幻想だったのではないか。1991年以後は、むしろ世界政治は多極時代に入っていた。それを、アメリカによる一極支配の確立、アメリカ民主主義の勝利、世界をさらに民主主義化する使命をアメリカはもつと考えたところに間違いがあったのではないか。

特にブッシュ政権8年間は、9・11テロを切っ掛けに、<テロとの戦い>を大義名分として、アフガニスタンやイラクに介入、オーバーコミットメントをしてきた。<文明の衝突>というイデオロギーを振りかざし、ソ連の次はイスラムが敵になるとしたハンチントンも、単なるブッシュ政権のイデオローグにすぎなかった。

アメリカは古代地中海を統一したローマ帝国のような帝国たりうるという<アメリカ帝国論>も幻想にすぎなかった。アメリカは、すでに1990年の段階で、もはや世界の銀行家でも道徳家でもなくなっていたのに、その実力の程も忘れ、世界の警察官を任じ、その資金は世界中から集めた借金に頼っていたのである。

 20世紀の初め、第一次大戦後、アメリカが世界最大の債権国になり、パクス・アメリカーナの確立に邁進し出した頃にも、そのようなアメリカの責任論がアメリカ自身から起きてきていた。アメリカは、単に映画やジャズを輸出するだけでなしに、世界を民主化し、世界平和を維持する責任があるという言論である。それが、ある意味で善意からきたものであったにせよ、世界へのオーバーコミットメントを招き、逆に、ドイツや日本、そしてソ連を敵に回し、20世紀の大動乱を招いてしまった。

日本は自ら安保に責任もて


 1月に誕生したオバマ民主党政権の課題は、そのような幻想からくるオーバーコミットメントから退却し、国内経済をはじめ国内体制を立て直すことにあることは明らかである。世界全体へのお節介をやめ、アメリカは、むしろ<普通の国>になった方がよいのである。

そのためには、イラクからの撤退、アフガンのアフガン化、イランとの対話、北朝鮮との妥協、イスラエルの説得によるパレスチナ問題の解決などが必要であろう。安全保障面から言っても、日本や韓国やEUは、自分自身でその責任をもたねばならない。わが国も日米安全保障条約を見直し、双務化する必要も出てこよう。

また、対中国では、その実力を承認するとともに、国際的責任をもたせる必要がある。通貨制度でも、ドルの基軸性が揺らいでいくとすれば、円やユーロを交えた何らかの新しい通貨制度を創案していかねばならない。アメリカが<普通の国>になるには、政治的にも経済的にも大幅な調整が必要なのである。

 世界は再び多極時代に入っている。米・欧・日・中・ロ・中東諸国・インド・ブラジルなど、多くの国々が利害を調整しながら平和を維持するとともに、統合に向けて新しい世界秩序をつくっていくことは、今日の世界では不可能ではない。今回のアメリカの金融危機に発する世界経済の危機は、そのような方向に向かう一里塚になるかもしれない。

(こばやし・みちのり)


The Sekai Nippo Co.,Ltd. 1975- Tokyo,Japan

このエントリーをはてなブックマークに追加
LINEで送る

この記事に対するトラックバック

この記事のトラックバックURL

この記事に対するコメント

この記事にコメントする

管理者にだけ表示を許可する